互いに相手に勝とうとしてあらそうことを
相剋 という。
互いに、対立や矛盾するもの同士だから
譲り合うことも認め合うことも出来ない。
ことに環境問題において、とてもそれを感じる。
例えば原子力発電。
例えばバイオエタノール。
例えばゴミやリサイクル。
例を挙げたらきりがない。
そして、野性の動物と人間の関係においても
人間同士、保護か?捕殺か?で揺れている。
『
相剋の森』
これは、そんな葛藤の中生きる人間とツキノワグマの話。
熊谷達也のマタギ三部作の作品のひとつだ。
相剋の森
「山は半分
殺 してちょうどいい」
動物写真家が語ったこの言葉の本当の意味を知るために
フリーライターの女性が、現代のマタギたちを取材しながら
経験していく物語だ。
そして、知れば知るほど、自分の血が騒ぎ、ルーツをたどると
マタギの血が流れていたことを知る。
この話は、直木賞、山本周五郎賞を
史上初めてダブル受賞した感動巨編である
『邂逅の森』という作品へ繋がっている。
俺らに生きる力を与えてくれるんさ。
ここで暮らすすべてがクマ狩りに凝縮されていると
言ってもいいかもしれねえ。
だからよ、俺らはクマを殺すかわりに、
自分らの欲っつうものを殺さねばならねえと思っている。
山から山のものをもらうかわりに、
山を譲ってやらねばならねえと思っている。
熊谷達也『相剋の森』より 集英社文庫
マタギの生活をクマがかわいそうだと言って保護を訴える日本人。
けれど被害が出ては困ると言って殺す日本人。
相剋の森から私たちは学ばなければならない。
平成19年4月〜10月の報告が出た。
クマの捕獲数 1245頭
そのうち殺さなかったのは109頭
殺したのは1136頭
人身被害 39人
死亡者 1人
ランキングに参加しています。
こちらを↓クリックで応援してね。
Comments
Comment form